読んだ直後の感想を率直に記したい(備忘録)。
1. 感想
読んだ感想としては辻村深月さんの人物描写と伏線が、リズミカルで読んでいて飽きなかった。講談社文庫では上巻・下巻に分かれておりすぐに読める量ではなかったが、読み進めるほどにのめり込むような構成になっていて、面白かった。確かに、序盤は登場人物の紹介や人間関係、置かれている環境などを深掘りするためにメインの話しに行くまでにやきもきはする。しかし、その下地があったからこその感情移入、作品への没入感に満足した。後で読み返すときのメモとして残しておくなら、とりあえず3割、4割を読んでみることを勧める。
読後に最も心に残っている箇所は、月子の交友関係だ。1回読んだだけではまとまりきらない部分は多分にあるが、ここだけは譲らないという信念にも似た月子のパーソナリティが一貫して描かれている反面、悩み抱えている部分が多く描写されている。秋山教授を通して少しずつ解明されていき(??な部分もかなり多いが)、さばさばした大人なようで、内面は子供じみた悩みを抱えている部分に共感した。もし自分が何事にも素直に生きていけるならば、是非月子を参考にしたい。また、ラストシーン(浅葱の真相)にも触れるべきであろうが、ここでまとめきれる気もしなければ、読んだ直後過ぎてまとめる気にもなれないため、参考になった意見を紹介するにとどめる。
とにかく後味の残る、作品だった。
2. 疑問
ただ、長編作でミステリー染みた所もある作品のため、いくつかの疑問が残ったためメモして残しておく。
- 家出少年(赤川翼)の長い間、家出していた理由やiに従順すぎる点がかなりリアリティに欠ける。
- i(狐塚たちの知らなかった方)がθにゲームを持ちかけるわけだが、その動機が薄いように感じる
- 警察の仕事が雑すぎる点。あれだけの事件が立て続けに起こったにもかかわらず手がかりを見つけられないのは、このご時世的にも考えにくい。防犯カメラなどがあって、足がつきやすいのでは・・・
などとりあえず3つ列挙した。他にも疑問ではないが、`秋山先生の心理学に基づく会話`が難しすぎたり、浅葱が狐塚兄妹にきづけなかったりとおもったことはある。
3. 次に読みたい作品
「子どもたちは夜と遊ぶ」は、楽しんで読めたと思う。ただ、もう少し読後がさわやかなものを次回は読みたい。辻村先生のシリーズが好きなので、つぎは『ぼくのメジャースプーン』で!