すごい物理学入門

”カルロ・ロヴェッリ (2020). すごい物理学入門  河出書房新社”を読んだので記録しておく。

物理をやっている人ならば、この本を読んだときにアインシュタインの本質的なすごさや重力場の考えのすごさに目が行くのだろうが、なにせ大学でもまったく物理をやらずここまで来てしまったので、理解できるとも思っていないのだけれども、物理の神秘的な部分をピックアップしたい。

 

宇宙の新しい発見

一般相対性理論を簡潔に述べており、空間は物質とは異なる”物”だと考えるのではなく、空間も世界を構成する物質的な要素の一つであり、波のように揺れたりまがったりゆがんだりもすると考えるらしい。空間は目に見えない硬い容器ではなく、柔らかな「軟体物」とまで表現しています。時間さえもゆがんでしまうそう(どうゆうこと?)。そこで、ゆがんだ空間ならゆがんだ空間と認識して記述しようしたのが、数学会で有名なガウスやリーマンたちです。アインシュタイン方程式と呼ばれる物。また、ブラックホールもその空間のゆがみによって生じる物。大きな恒星などが燃え尽きると燃焼熱によって支えられることがなくなり、自分自身の重力で押しつぶされてしまうそうです。そこに、空間のゆがみが生じて、文字通りの穴ができるそうです。100年前には信じられなかった、ブラックホールもいまでは、数百のブラックホールが実際に観測されています。

 

熱が時間の流れを生む

 個人的に興味を持ったのが、こちらで時間という概念について、熱を用いてアプローチしています。時間とは何か?という哲学じみた物ではなく、しっかりと答えを下しています。

 そもそも熱とは、分子の運動を意味しています。例えば、スプーンにしても熱いスプーンもあれば、冷たいスプーンもあります。その違いは、スプーン内部の分子の運動量による物です。そして、熱と言えば”熱い物から冷たい物に移る”ということが知られていますが、それはなぜでしょうか。これは偶然(確率)による物だとボルツマンが見つけています。

 100パーセント熱い物から冷たい物に熱が移るわけではなく、移る確率が圧倒的に熱い物から冷たい物への方が高いために、そのように結論づけたらしいです。熱い物の方が、分子の動きが活発であり、冷たい物体の分子の方にぶつかりやすいと考えたら自然かと思います。英語風に述べると、"almost surely"で熱い物から冷たい物へ移るわけですね。この物理の分野を、統計熱力学とか言うそうです。

 一番感動したのは、熱の移動が時間を生み出していると。もし、熱の移動がない世界ならば、そこに何かしらの時間の経過はあるでしょうか?たとえば、振り子を考えたときに摩擦熱も何も生じないので、その振り子はいつまでも動き続けるでしょう。しかし、周期的に動く振り子を映像にして逆再生しても、なにひとつ変わらない動きが見られるでしょう。もしここに、摩擦熱が生じて、振り子が減衰していったならば、未来と過去を区別することができるでしょう。このように、過去と未来を区別しているのは、熱伝導による場合に限られます。時間とは、流れていく物ではなく、確率的によって起こる熱伝導のことと、とらえることができるのですね。

 

まとめ

難しいなりに、優しくかかれていたので、なんとか読み終えることができた。短いので、気が向いたらまた読もう。